エンジンオイルは車の性能を維持するために大切な部品です。しかし高温の中で動くエンジン内部は、オイルを消耗させる過酷な環境。また、オイルは時間の経過とともに劣化していくため、定期的な交換が必要です。
車の種類にもよりますがオイル交換は、一般的なガソリンエンジン車で、半年または5,000kmでの交換が目安です。エンジンオイルを交換しないまま走らせ続けた場合、エンジン内部の異常発生や故障に至ることがあります。実際にどんな症状があるのか確認していきましょう。
エンジンオイル交換を怠った場合の異常・故障とは

摩擦不足によるパワーダウン
エンジンオイルの劣化で本来の潤滑性能が低下し、エンジンのパワーが落ちてしまう症状です。アクセルを踏み込んでもスピードが出にくいと感じた場合は、速やかに点検するようにしましょう。定期的に交換することで症状を予防することも可能です。
燃費の悪化
パワーダウンや油膜の低下により圧縮不足を起こすと、その分燃費も落ちてしまいます。走り方を変えていないのに、以前よりも燃費が落ちてきたと感じる場合は、オイル交換のタイミングが近づいているサインです。車の不調がこれ以上出ないうちに交換を検討しましょう。
オーバーヒート
オーバーヒートは、エンジンの故障につながる深刻な症状です。原因の一つとしてエンジンオイルの劣化による冷却効率の低下が挙げられます。エンジンの熱と潤滑不足による発熱で冷却が追い付かなくなるのです。エンジンオイルとは別に車を冷やすラジエーターというパーツもありますが、エンジンオイルの冷却効率が落ちれば、その分ラジエーターに負担がかかります。
最悪の場合はエンジンの故障にもつながる!?

これらの症状が出ているにも関わらず、オイル交換をせずにそのままにしておくと、より深刻なダメージを与える原因となります。エンジンの故障を防ぐためにも、どのような症状があるのか見てみましょう。
オイル上がり、オイル下がり
オイルの潤滑不足によってエンジン内のパーツが削れてしまうトラブルです。この際に削れた隙間からオイルが漏れだし燃料を燃やす部分に入ってしまうと、エンジンオイルも燃えてしまいます。このような症状は、マフラーから白煙が出るだけでなく、エンジン自体を痛めてしまう原因です。
症状が悪化すると高額な修理費用が掛かるため、オイルの減りが早いと感じた場合やマフラーの白煙が気になる場合は、一度点検するようにしましょう。知らない間に症状が進行していたというケースもあるため、前回いつオイルを交換したか記憶にないという人は早めに確認してください。
部品の破損
エンジン内で高速に動くカムシャフトやバルブは、摩擦不足によってダメージを受けます。ダメージが蓄積され変形や破損してしまえば、当然ながら交換が必要です。エンジンを開けて作業するため、部品代や工賃はとても高額になります。
またこれらのパーツは車を動かすための重要なパーツなので、もし壊れれば走行が不可能です。パーツの破損は走行中でも起きる場合があります。特に高速道路上などで発生した場合は、非常に危険な状況に陥るため、定期的な点検を心掛けましょう。
エンジンオイルを含む日常点検はドライバーの義務!

自動車を所有するドライバーは【道路運送車両法第47条の2, 自動車点検基準第1条】より、日常点検を行うことが義務化されています。
ドライバーが行うべき日常点検は以下の15項目です。
- ブレーキ液の量
- 冷却水の量
- エンジンオイルの量
- バッテリ液の量
- ウインドウォッシャー液の量
- ランプ類の点灯・点滅
- タイヤの亀裂・損傷の有無
- タイヤの空気圧
- タイヤの溝の深さ
- エンジンのかかり具合・異音
- ウインドウォッシャー液の噴射状態
- ワイパーの拭き取り能力
- ブレーキの踏みしろと効き具合
- 駐車ブレーキの引きしろ(踏みしろ)
- エンジンの低速・加速状態
この15項目中、3項目はエンジンオイルに関わる内容です。運転免許を取得していても、ここまで細かく気にする人は少ないかもしれませんが、エンジンオイルがどれほど重要な項目であるかがうかがえます。気になった方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ
エンジンオイルの交換を怠ると、車が不調になるだけでなく、深刻なダメージを与える原因となります。場合によっては走行できなくなるため、以下の項目を心掛けましょう。
- ドライバーの義務としてエンジンオイルの量や状態を気にする
- 信頼して自分の車を任せられるお店を見つけてメンテナンスする
普段車に乗っている人でも、エンジンオイルについて気にしている人は案外少ないものです。車の購入店以外にも身近に利用するカー用品店やガソリンスタンドであれば、エンジンオイルについて気軽に相談することが可能です。あなたの愛車を長持ちさせるために活用してみてはいかがでしょうか。