車を安全に走らせるためには、点検が欠かせません。点検には整備士が車を診る定期点検や車検のほかに、車の運転者が日常的に行う日常点検があります。日常点検はプロでなくても車をチェックすることで、車の異変に気付くことができるとても重要なものです。
本記事では、車の日常点検の基礎知識を解説します。
車の日常点検は運転者の義務
日常点検は、道路運送車両法第47条の2に定められている、車を運転する人の義務です。条文には「自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。」と記載されており、車の運転者にとっての責任とも言えます。
車の日常点検で見るべき12箇所
では実際にどのような部分を日常点検で見れば良いのでしょうか。車を見る際に3つの場所に分け、12項目を簡単に解説していきます。
エンジンルーム内
ボンネットを開け、それぞれの項目を見ていきましょう。
1. ウインドウォッシャー液の量
車によってタンクが奥まった場所にある場合もありますが、タンク内に水が入っているかどうかを確認しましょう。
2. ブレーキ液の量
ブレーキフルードのリザーバータンクを見て、「MAX」と「MIN」の間にフルードが入っているかチェックします。少なすぎる場合はすぐに整備士に見てもらいましょう。
3. 冷却水の量
ラジエーターのリザーバータンクを見て、「FULL」と「LOW」の間に水が入っているかチェックします。タンクからラジエーターに向かっているホースからの漏れや滲みもあわせて確認すると良いでしょう。
4. エンジンオイルの量
オイルレベルゲージを引き抜き、いちどウエスなどで拭き取ったあとに元に戻します。再度引き抜き、ゲージの「H」と「L」の間にオイルがあるかを確認します。
車の外回り
車の外周を回って、外側に異常がないか確認しましょう。
5. タイヤの空気圧
タイヤを目視し、極端に空気が減っていないかを確認します。タイヤがぐにゃっとなっているようでしたらパンクの疑いがあります。
6. タイヤの亀裂、損傷および異状な摩耗
空気圧を見るのと同時に、タイヤの状態を見ます。ひび割れや傷などがないか見ると同時に、タイヤの接地面に極端な摩耗がないかも見ましょう。
7. タイヤの溝の深さ
タイヤの溝を見て、溝が十分に残っているかを確認します。接地面に「スリップサイン」とよばれる凸状のサインが露出している場合、すぐにタイヤ交換する必要があります。
8. ランプ類の点灯、点滅およびレンズの汚れ、損傷
ヘッドライト、ポジションランプ、ウインカー、ブレーキランプ、バックランプが正常に光るかチェックします。ブレーキランプやバックランプを一人でチェックするときは、窓ガラスや鏡などに写っている状態で確認すると安心です。
運転席に座ってここを確認
最後に運転席に座って日常点検をします。以下の4つを確認し、違和感がないかチェックしましょう。
9. ブレーキ・ペダルの踏みしろおよびブレーキの利き
ブレーキを何度か踏んで、しっかりと踏んだ感覚があるかチェックします。スカスカするなど踏みごたえがない場合はフルード漏れの可能性もありますので、すぐに整備士に見てもらいましょう。
10. パーキングブレーキ・レバーの引きしろ
手引き式、あるいは足踏み式のパーキングブレーキ搭載車はそれぞれブレーキが効くか確認します。パーキングブレーキを引いたり踏んだりしてチェックしましょう。
11. ウインウォッシャーの噴射状態
ウインドウォッシャー液が入っていても、ノズルに異常があればウォッシャー液が適切に出せません。問題なく噴射されるかチェックしておきましょう。
12. ワイパーの拭き取りの状態
ウォッシャー液を出したとき、ワイパーがきちんと拭き取れるか確認します。
日常点検で異変を感じたらどうする?
車を動かす前に日常点検をしておかしいなと思ったときは、自動車整備士に見てもらうことをおすすめします。とくに冷却水やブレーキフルードの漏れなどは重大な事故につながる恐れがありますので、可能であればロードサービスなどで普段車を見てもらっているところに運んでもらった方が安心です。
もし出先で点検をした際に異変を感じたら、最寄りのディーラーや整備工場などに連絡を取ってから車を運びましょう。もし自分で車を走らせて整備工場などに行く場合は、細心の注意を払いながら運行してください。
適切な点検頻度は?
ここでは12個の点検箇所を紹介しましたが、この日常点検はどれくらいの頻度で行えば良いのか気になる方もいるでしょう。日常というくらいなので車を使うたびにしたいものですが、毎回行うのは大変かと思います。そのため、最低でも1ヶ月に1回は点検することをおすすめします。これに加えて法定点検は1年ごと、通勤通学などで日常的に車を使うのなら半年に1回は整備士に点検してもらうと安心でしょう。
日常点検、自分でできない場合はどうする?
整備士の資格がなくてもできるのが日常点検ですが、自分でやるにはどうしても不安だという方もいるかもしれません。そういった場合は、整備士のいるディーラーや整備工場に車を持ち込んで見てもらうのがおすすめです。もしくは、普段行くことの多いガソリンスタンドにも整備士がいますので、ドライブのついでや出かける前などに行って車を見てもらうのも良いでしょう。
車を動かすなら日常点検は必須!難しい場合は近くのガソリンスタンドで!
日常点検をしておけば万一のトラブルを避けることができます。運転者の義務として点検を行う必要がありますが、点検する自信がない場合は車のプロである整備士に見てもらうと良いでしょう。
皆さんが日頃利用しているガソリンスタンドでは日常点検も行っています。気になることがあれば、ガソリンスタンドで車を見てもらってください。