車を所有していると、定期的に点検を受ける必要があります。乗用車は2年ごとの車検が義務付けられており、罰則を受けることがありますが、1年ごとに受ける法定点検についてはどうなのでしょうか。
この記事では、法定点検の必要性と受けなければどうなるのかという点について解説します。
車の法定点検の必要性とは

自動車に関する法律「道路運送車両法」には、点検に関する記述があります。使用者の点検および整備の義務として「自動車を使用する者は、自動車の点検をし、必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」とあります。(47条)
車の点検は車の所有者(使用者)の義務として法律にも示されています。車を定期的に点検することで安全な運航ができるようになるため、必ず実施しましょう。
法定点検を受けないと、何か処分があるのでしょうか?

道路運送車両法で点検整備を行うことが義務であると記載されています。法定点検を受けなかった場合、法律違反となるためどのような処分を受けるのか気になる方もいるでしょう。
厳密にいうと、法律違反をしていても罰金など処分を受ける記述はありません。そのため、法定点検を受けなくても何ら罰則はないということになります。しかし、仮に交通事故の原因が点検を怠ったことによるものと判断された場合は、事故の過失割合に影響が生じる可能性があります。自分を守るためにも、法定点検は受けるようにしましょう。
また、バス・トラック・タクシーなどの事業用車両が法定点検を怠ると、道路運送車両法の規定に基づき、30万円以下の罰金が科される場合があります。運行停止命令などの業務に影響を及ぼす可能性もありますので必ず受けるようにしましょう。
車の法定点検はどれくらいの頻度で行うべきか

罰則はないものの、法定点検は必ず受けなければなりません。では、どれくらいの頻度で法定点検を受けなければならないのでしょうか。ここでは普通車と商用車の法定点検のタイミングを解説します。
普通車(3・5・7ナンバー)の場合
いわゆる乗用車の法定点検のタイミングは、1年(12ヶ月)に1回となります。
新車で購入した場合は1年後、2年後に法定点検(12ヶ月点検)、3年目に車検と同時に法定点検(24ヶ月点検)を受けます。以降は12ヶ月点検と24ヶ月点検(車検)を順番に受けていくことになります。
商用車(1・4ナンバー)の場合
バンやトラックなど貨物車(商用車)として使われる車は、半年(6ヶ月)に1回が法定点検のタイミングとなります。
商用車の車検タイミングが1年(12ヶ月)ごとなので、半年に1回が点検タイミングと覚えておきましょう。最近はキャンピングカーや趣味用で商用車を乗る人もいるかと思います。乗用車とタイミングを間違えないように気をつけてください。なお、軽商用車の点検タイミングは特殊で、法定点検が1年(12ヶ月)、車検が2年ごとになります。
法定点検ではどのような部分を見る?

法定点検は「車の健康診断」とも呼ばれ、細かな部分を多く見ます。具体的な点検項目は以下のとおりです。
- ハンドル回り(パワーステアリングのベルトの緩み、損傷など)
- エンジン回り(エンジンオイルの漏れ、冷却水の漏れ、排気ガスの状態など)
- 電気装置(点火装置の状態、バッテリーの状態など)
- ブレーキ回り(ブレーキペダルの踏みしろ、ブレーキフルードの漏れ、パーキングブレーキの状態、ブレーキパッドの残量など)
- 排気ガス防止装置(マフラーの状態、排気漏れの有無など)
- タイヤ、足回り(タイヤの状態、ホイールナットの緩みなど)
- 動力伝達装置(クラッチ、トランスミッションの状態など)
資格を持った整備士が車を細かく点検することで、安全な運行が確保できます。
法定点検以外にもする点検はある?

法定点検は半年あるいは1年に1回受ける点検ですが、車を使用する人は定期的に日常点検をしましょう。一般社団法人日本自動車連盟(JAF)では、1ヶ月に1回、15項目の日常点検をするように推奨しています。長距離走行前や洗車時などに下記項目をやってみてください。
- ①エンジンルームの中
- 1.ウインド・ウォッシャ液の量
- 2.ブレーキ液の量
- 3.バッテリー液の量
- 4.冷却水の量
- 5.エンジンオイルの量
- ②車のまわり
- 6.タイヤの空気圧
- 7.タイヤの亀裂、損傷および異状な摩耗
- 8.タイヤの溝の深さ
- 9.ランプ類の点灯、点滅およびレンズの汚れ、損傷
- ③運転席に座って
- 10.ブレーキペダルの踏みしろおよびブレーキの利き
- 11.パーキングブレーキ・レバーの引きしろ
- 12.ウインドウォッシャの噴射状態
- 13.ワイパの拭き取りの状態
- 14.エンジンのかかり具合および異音
- 15.エンジンの低速および加速の状態
それぞれチェックし、何か違和感があればプロに車を見てもらうと良いでしょう。
車の法定点検はどこでしてもらうのがいい?

車の使用者の義務である法定点検は、プロの自動車整備士にしてもらいましょう。自動車整備ができるカーディーラーや自動車整備工場、カー用品店などが該当します。皆さんが日頃利用しているガソリンスタンドに自動車整備ができる設備が整っていれば、ガソリンスタンドでも法定点検が可能です。点検整備が可能かどうかを確認してみましょう。
法定点検はお近くのガソリンスタンドで!
ガソリンスタンドはディーラーなどと比べると定休日がなく、いつでも車に関する相談ができる場所です。何かあった時の駆け込み寺としても活用できます。ガソリンを入れるついでに気軽に相談できますので、法定点検もできるか確認してみてください。