車には様々な油脂類が使われています。皆さまが真っ先にイメージするのはエンジンオイルかと思いますが、エンジンオイルと同じくらい重要な役割を担っているのが、ブレーキオイルです。
今記事では、ブレーキオイルの役割について触れていくとともに、ブレーキオイルの交換の目安となるタイミングや、ブレーキオイル特有の交換時の注意点について解説していきます。
ブレーキオイルの役割とは
ブレーキオイルはその名の通り、ブレーキに関係するオイルです。ブレーキオイルの役割を簡単に説明すると、ブレーキを適切に動かし、車を制動する(停車させる)ということです。
自動車のブレーキは油圧式を採用しています。ブレーキオイルは、運転席が踏むブレーキペダルとブレーキ本体の中間に位置しており、ブレーキパッドを踏み込むことでできる油圧を使ってブレーキを機能させます。つまり、車のブレーキを作動させるためにブレーキオイルが存在しているということになります。
ブレーキオイルの交換目安
ブレーキを正確に作動させるために必要なブレーキオイルですが、エンジンオイルと同様に時間の経過や車の使用頻度によって劣化していきます。エンジンオイルの交換タイミングは1年または1万km(シビアコンディションの場合はその半分)と定義されていますが、ブレーキオイルの交換タイミングはどうなっているのか、ここで確認していきましょう。
基本的には車検のタイミングで交換
ブレーキオイルは経年劣化していきますが、通常利用であれば基本的には頻繁に交換しなくても問題はありません。一般的なブレーキオイルの交換タイミングとしては、新車購入時の3年、それから2年毎にやってくる車検に合わせて交換してあげるのが適切だと言われています。
スポーツ走行をする場合は毎回
サーキットなどでタイムアタックやレースなどといったスポーツ走行をする場合は、日常の車の使い方以上に油脂類を酷使します。普段よりも加速や減速が急で、エンジンだけでなくブレーキにも相当な負荷がかかる走り方をしますので、過酷な使用に比例してオイル類の劣化が早まります。
特に高速域での走行をした後はブレーキオイルが劣化しますので、スポーツ走行をする場合はその都度オイル交換をしてあげると、日常の利用においても安心といえるでしょう。
ブレーキオイルが劣化するとどうなる?
日常使いであれば2~3年、スポーツ走行をしていればその都度劣化していくブレーキオイルですが、実際にブレーキオイルが劣化するとどういった症状をきたす可能性があるのか、という点について確認していきます。
ブレーキの効きが悪くなる
ブレーキオイルが劣化することによって起こる不具合の代表格として、ブレーキの効きが新品オイルと比較すると悪くなるということが挙げられます。ブレーキを使用すると熱を持ちますが、熱が発生することでブレーキオイル内に気泡が発生し、的確にブレーキ本体に油圧をかけられなくなっていきます。
ブレーキの配管やブレーキ本体に不具合をきたすことも
ブレーキオイルが劣化している状態で、交換もせずにそのまま使用をしていると、ブレーキ本体や配管に不具合をきたす可能性があります。
その原因として、ブレーキを使用する際に発生する気泡があります。この気泡は簡単に言うと「水分」です。水分が配管の鉄に接触することによって配管に錆が発生する恐れもありますし、最悪の場合は配管や本体が破損してオイル漏れが発生することも有り得ます。
ブレーキオイルの交換費用は?
次に、ブレーキオイルの交換に関する費用についてです。ディーラーや整備工場によって値段設定が異なってきますが、安いところでは5,000円、高くても10,000円程度の費用がかかってきます。エンジンオイルよりもやや高額になると覚えておけば間違いないでしょう。
ブレーキオイル交換の注意点
ブレーキオイルの交換は、エンジンオイルの交換のように「古いオイルを抜いて新しいオイルを補充する」だけではありません。
ブレーキオイルを交換する際には、タンクにオイルを入れた後に必ずやらなければならない作業として、「エア抜き」の作業があります。これはブレーキの配管などに滞留している空気を抜いてあげることで、ブレーキペダルを踏んだ時に正確な力を伝えられるようにしてあげる作業です。
さらに適切なオイルの量を入れてあげることも大切で、ブレーキオイルが規定量より少なくても多くても何かしらの問題が発生する恐れがあります。
これらの作業はDIYで行うことはあまりお勧めできないため、お店に頼んで行ってもらいましょう。
ブレーキオイルの交換はプロにお願いしよう
ブレーキは車にとって大切な要素のひとつです。自分自身で行うこともできなくはありませんが、エア抜きなどの作業を正確に行わないと大事故につながっていきます。こういった整備はプロの整備士に頼むことで安心して車に乗り続けることができますので、お店に相談しましょう。