一口にタイヤ交換と言っても、実際にはさまざまな方法があります。自分の愛車に最適な交換方法を理解することで、効率を良くしたり工賃を抑えたりすることができます。ここでは具体的な方法をご紹介いたします。
履き替え
タイヤの履き替えは、タイヤがホイールに付いたままの状態で交換する方法です。すでにタイヤとホイールがセットになっていることから、シチュエーションに合わせて定期的に交換するドライバーにおすすめの方法です。具体的には、夏タイヤから冬タイヤへ交換する場合や、サーキットやスポーツ走行のための交換が挙げられます。タイヤをホイールから外す必要が無いため、定期的に交換をするドライバーにとって、この方法が一番効率良く、工賃を抑えられるでしょう。
メリット
- タイヤ交換をする度に発生する工賃を、最小限に抑えることができる
- ホイールごと交換のため繰り返し使いやすい
デメリット
- タイヤを保管している間も劣化する場合がある
- ホイールを別で4本(1台分)用意しなくてはならない
組み換え
タイヤをホイールから外して、別のタイヤに交換する方法です。頻繁にタイヤを履き替えないドライバーは、この方法が一般的と言えるでしょう。組み換えをする際には、専門の設備が必要となります。また、タイヤのサイズや種類によっては作業スタッフに専門性を求められるため、専門店でないと対応できない場合があります。もし組み換えを考えているのであれば、まずはそのお店に確認をした方が良いでしょう。
メリット
- 必要に応じて1本からタイヤ交換が可能
※応急処置で違う銘柄のタイヤを1本交換する場合、左右で差が生じるためおすすめできません
デメリット
- ホイールから外して交換するためコストが高い
- 定期的な交換には不向き
ローテーション
現在使用しているタイヤが摩耗してきた際に、前後左右の場所を変えることにより、タイヤを余すこと無く利用する方法です。車の種類や走り方によって前後左右のタイヤで摩耗の仕方が違うため、ローテーションではそれを入れ替えます。
メリット
- タイヤの寿命を延ばすことができるためコストパフォーマンスが高い
デメリット
- 前後でタイヤサイズの違う車両だと交換できない
- 摩耗の具合によっては交換が推奨される
バランス調整
タイヤは一見丸く見えますが、素材や製造における性質上、正確な真円ではありません。そのため、新品タイヤでもホイールに取り付けて走行した際は、上下左右にブレが生じます。したがってこのブレを補正するのがバランス調整です。
一般的にはバランサーという設備を使ってタイヤを回転させることで、どの程度ブレているのかを確認します。もしブレがあるようであれば、必要な箇所にウエイトを取り付けて調整。このブレを調整せずにそのまま走行すると、ハンドルや車体の振動が大きくなるため、乗り心地や走行性能を損ないます。低速だと気づかない振動も80〜100kmくらいになると顕著になるため、気になる人は調整してもらいましょう。
スペアタイヤ交換
パンクやバーストといった事故等により、走行ができなくなった場合の応急処置です。トランクや車外に設置されたスペアタイヤを、車載ジャッキ・工具を使い交換します。普段行うことではないため、実際に交換できる人が少ないのも事実です。
もし交換ができない場合は、無理に行わずに、JAF等のレッカーサービスを要請するようにしましょう。無理に行って取り付け方を間違えると、走行中に外れてしまい、思わぬ事故に繋がることもあります。
また、近年では自動車メーカーが燃費向上の軽量化や、コストダウンのため、スペアタイヤを搭載せずパンク修理キットのみを搭載した車両もあります。こちらはエアバルブからパンク修理剤を充填し、付属のコンプレッサーで空気を入れることで修理が可能です。タイヤを交換する必要が無いため、簡単にパンクを修理できるのですが、バーストの際には使用できないだけでなく、一度修理剤を充填したタイヤは交換が必須となるため、賛否が分かれるところです。
まとめ
タイヤを交換する方法は目的によってさまざまです。北海道や東北地方などの雪国では夏タイヤから冬タイヤへの交換が多いので、これらの知識や技術がある方が多いかもしれません。しかし雪が降らない地域などでは、タイヤ交換自体を行わないため、なじみが無い人も多いでしょう。
タイヤ交換の知識を身につけることにより、目的に合った交換が行え、タイヤの寿命を延ばすことができます。また、タイヤに対する意識が向上し、ドライバーの義務である日常点検等にも目が向くのではないでしょうか。
タイヤの交換はディーラーや整備工場のほかにも、ガソリンスタンドや大型のカー用品店で行える場合があります。車種によって交換できない場合もあるため、もし気になっている場合は事前に問い合わせたうえでお願いするようにしましょう。